2024年2月1日
2024年 カニカピラから寒中見舞いのご挨拶です
※こちらの記事は、2024年2月にお世話になった方々に送らせていただいた、カニカピラからの寒中見舞いのメール内容になります。
寒中お見舞い申し上げます。
2024年もカニカピラをどうぞよろしくお願いいたします。
ご無沙汰しております。カニカピラの姉川です。
昨年、こども社長として登場してくれた息子も、気付けば小学3年生になりました。3歳の下の子とともにスクスク成長している姿を見ては僕も刺激をもらっています。
しかし、こどもが大きくなったからと言っても子育ての悩みは尽きません。SNSやインターネットでどんな情報も手に入る時代ですが、ノウハウだけでは対応しきれない大変さを毎日噛み締めています。
正解があるようで、ないような。
ないようで、あるような。
こうした試行錯誤を毎日続ける中で「子育てをする親にとって本当に必要なサービス」って何だろうと考えた結果、現在制作しているのが「Super Diversity Kids」です。
今回は、子育て世代に寄り添ったサービス「Super Diversity Kids」(SDKids)の開発の裏側をインタビューして頂こうと思います。SDKidsは今年の5月にベータ版リリースを控えていますので、この機会にその想いをぜひチェックしてみてください。
Super Diversity Kidsのインタビューに来た小林です。姉川さんいらっしゃいますか?
あっ、はい!僕です!僕が姉川です!
スーパー何ちゃらKidsだから、こどものなんか?のアレですよね?
はい、今回は育児や教育サービスの内容やお考えを聞かせていただくお約束で参りました。よろしくお願いします。
あーはいはいはい、任せてください。
子育ての悩みを根本的に解決したい
Super Diversity Kids(愛称:SDKids)は、子育てをしている方向けのサービスなんですね。
えっと、そうですね。すーぱーだいばーしてぃキッズは「お子さんと過ごす時間が楽しめるように」という想いから開発を始めたサービスです。研究結果として認められた理論をもとに、お子さんや保護者の方自身の特徴をそれぞれ診断することで、子育てのヒントが得られるように設計しています。
えーっと、それから、公認心理士や臨床心理士の先生に監修してもらいながら開発を進めているため、子育てで困った時にどう対応すべきか、具体的なアクションを学ぶことも可能です。
利用することで、子育ての悩みが解決できるんですね。
あーうん、えっと、えーーー、そうですね。「うちの子、なんでこんなことするんだろう?」という疑問が解消できる可能性はあります。
ただ、目の前の課題や心配ごとに対して「〇〇すると解決できます!」といったアプローチはしていません。その場に合わせた解決策を実践しても、お子さんのことを本質的に理解することは難しいと考えているからです。
多様性が叫ばれる現代において、一人ひとりのお子さんが「自分を活かして生きる」世の中になってほしい。そのためには、ノウハウに留まらずもっと根本的なところにフォーカスする必要があると考え、開発を進めています。
サービス名に込めた想い
SDKidsという名前には、どういった意味や想いがありますか?
多分ですけど、SDKidsは、もともと「Miii」という名称のサービスでした。
金子みすゞさんの詩「みんなちがってみんないい」の「(み)んな(いい)」が由来で、多様性のある子育てを支援するサービスとしてふさわしいと考え名付けたんです。
しかし名前を見ただけではどのようなサービスかわかりづらいという声があり、よりわかりやすくするために改称することにしました。
「みんなちがってみんないい」を僕なりに意訳すると「すごく多様性のあるこどもたち!」というワードが浮かんできて。それを英語にして「Super Diversity Kids(SDKids)」という名称にあらためています。
こどもも、大人も、みんなちがってみんないい。
それぞれが多様性の塊で、違いがあるからこそ子育てが楽しくなるように。そんな思いを込めています。
えっ?なんか怪しい人たちが入ってきましたけど大丈夫ですか?
今日来る予定だった不用品回収の業者さんたちなので大丈夫ですよ。
それにしては格好が怖いんですけど……
ちょっと見た目は怪しいですけどちゃんと不用品回収の業者さんです。今どきの不用品回収業者はこんなもんですよ。
は、はぁ……
話が逸れてしまい申し訳ございません、インタビューに戻ります。
テスト版リリースでは、思いが伝わらず悩んだことも
2023年は、Miiiのテスト版リリース・SDKidsのInstagram開設など、ユーザーの方々と積極的にコミュニケーションをとられた年でもあったんですよね。
そうですね、2023年はさまざまな場でユーザーの皆さんからお話しを伺う機会が多くありました。
実際にユーザーの皆さんとお話しして、どんなことを感じましたか?
Miii(SDKidsの前のサービス)のテスト版リリースでは、サービスの意図がうまく伝わっていないんだなと感じました。
伝わっていない……とは、具体的にどういうことでしょうか?
実際にユーザーの皆さんに試してもらったところ「この結果はうちの子に当てはまっていない気がする」「この情報は参考にならない」「役に立ちそう」など、さまざまな声をいただいたんだと思います。多分。
好意的な声も、手厳しい意見も含めて、サービスの伝え方を検討する必要があると思いましたね。
本質的な部分が伝わってなかった、ということでしょうか?
えーっと、そうですね。はい。そうだと思います。
そもそも今回のサービスでは、お子さんの考え方や価値観を知るために、基本的欲求や認知特性といった広く研究されている理論を取り入れています。
学術結果に基づいて考えることでお子さんの行動の裏にある気持ちや理由を想像し、適切なアプローチができる状態が目指せます。
しかしこれらは専門的で難しいので、そのままではユーザーの方々にとって取っ付きにくく、大切なことが伝わりません。なるべく使いやすく理解しやすいサービスにするために「診断テスト形式」でお子さんの基本的欲求や認知特性がわかるように開発を進めたんです。
しかし、わかりやすく伝えたとしても、すぐに実践できる形じゃないとユーザーに受け入れてもらえないという問題に直面しましたね。
ユーザーの方々が求める情報は、違ったということでしょうか?
毎日子育てをしていると、目の前のことを解決するために即効性のある情報を集めてしまうことがあるんです。
タメになる情報をとりあえず集める。使えそうな情報は試してみる。
でもお子さんに合った方法じゃないとうまくいかない。すると、次の手としてこどもをコントロールするような言葉を投げかけてしまいます。
たとえば、お子さんが朝起きなかったら「早く起きなさい!」。
夜更かししていたら「早く寝なさい!」。
感情的に怒ったりするのが良くないとわかっていても、そうしないと回らないのはわかります。うちもそうですが、実際の子育ての現場は本当に目まぐるしいことばかりなので。
しかし、こどもを変えることや上手に子育てすることに力を注いでしまうと、目の前にいるお子さんを見失ってしまうかもしれません。もっと違うところに目を向けて、お子さんと楽しく向き合ってほしい。こうした本質的なメッセージを伝えるために、どういったサービスがいいのか試行錯誤を続けています。
子育てをしていると毎日時間がなくて、そこまで考える余裕がある方は少ないようにも感じます。
そうですね、正直僕も悩まされています。
特に基本的欲求は理解するまで時間がかかりますし、どうしたものかなと咀嚼しながら開発している時もありますよ。
それでも、あえて基本的欲求や認知特性を学ぶ理由はどういったところにあるのでしょうか?
基本的欲求や認知特性に触れて徐々に考え方を落とし込むことで、えーっとどうなるんだっけ。
あぁ、今までとは違った視点でこどもと関われるようになるんです。はい。
これは僕の話ですが、以前までは「子育て=自分の時間が潰れる」といった見方をしていたんです。こどもに合わせて生活することが辛いと思っていた時期もありました。
ですが、土日にこどもと外出したり好きなところに連れて行ったりすることは「いろいろなものを見せてあげたい」という僕の欲求(したいこと)だったと気付いて。
「自分の行動を決めているのは自分だった」と納得してから、こどもに振り回されている感覚が減って前向きに子育てができるようになりました。
もともと「子育てに必要なサービスだ」と思いSDKidsの開発を始めましたが、こうした気付きを得たことで、より一層ユーザーの皆さんに届けたいという気持ちが強くなりましたね。
姉川さん、パソコンごっそり持ってかれてますけど大丈夫ですか?
えっ、あ〜、大丈夫です。最近の不用品回収は勝手にパソコンくらい持っていきますよ。
絶対そんなこと無いですよ。
親だからこどもを100%理解できる、は違う気がする
Miiiのテスト版リリースで、他に感じたことや印象に残ったことはありますか?
そうですね、えーっと……
ユーザーさんに限った話ではありませんが、「こどものことは私が一番理解している」といった考え方に引っかかったことはあるって姉川さんが…… じゃなくて僕が。
えっ、どうしましたか?
いいえ、なんでもないです。ちょっと噛んだだけです。
「親はこどものすべてを理解できる」という考えに違和感を覚えた、ということでしょうか?
たまたま親と子の価値観が一致していて、パーソナリティも似ていて……というパターンは本当に珍しいケースで、ほとんどの方は当てはまらないように思いますね。親がこどものすべてを理解している、と思い込むのはちょっと違う気がします。
お子さんは日々変わっていくので「こどものことは私が一番わかっている」と手放しで信じるのは危険なのではないかと感じてしまいますね。親子であっても別の人間ということを忘れないことが大切だと思います。
確かに、日々成長していくお子さんのすべてを把握するのは難しいですよね。
子育てはほとんどの人が初めて体験する未知の領域です。こどももすごい早さで変化していくので「わかっている」は「わかっていない」とほぼ同じだと思っています。
正解があやふやな分、不正解もわかりにくい。それが普通なんだと認識して、真摯に自分やこどもと向き合っていくしかない気がします。
「あー、確かに。それ俺も共感しますわ!」
でしょ!?やっぱそうだよねー!なんか親として共感しちゃうよね。
業者の方、インタビューに乱入するのはやめてください。
「はい……」
(なんだこの状況)
気を取り直して、正解がないからこそ心のあり方が大切なんですね。
そうです。ただ、それってすごくしんどいですよね。
こどもは自分の限界を平気で超えてくるし、ずっと冷静になんていられない。怒りたくもなるし、泣きたくもなります。僕も何回「しんどっ!!!」と思ったかわかりません。
いまこの瞬間にも、子育てがしんどくて悩んでいる方は多くいるような気がします。
そうですね。僕もかつては同じような思いを抱えていました。実はこのサービスを考えたきっかけとして、僕自身の子育ての「悩み」があったんです。
長男はとにかく寝ない子で、3歳ごろまでは毎日1〜2時間抱っこして寝かしつける必要がありました。やっとの思いで寝かしても、少しの物音で起きてしまい最初からやり直しなんてことは日常茶飯事で。そんな毎日を過ごしていたせいか、妻も僕も順番に体調を崩してしまったんです。
辛い状況に追い込まれた時に見えてきたのが、子育て世代の厳しい現実でした。
核家族化で誰かに頼りたくても頼れない状況、ちゃんとした子育てをしなきゃいけないという社会からのプレッシャー、効率化ばかりで許容性のない世の中。こどもを育て始めて「これどうなっているの?」ということが多すぎるように感じました。
昔はご近所同士などコミュニティ単位で子育てをしていたのに、家族の中だけで完結させようとするのはそもそも無理があります。多様性が求められる社会なのに価値観や仕組みが変わらず、結果や効率ばかり重視するのは難易度の高い「無理ゲー」です。
親に責任を求め、泣いているこどもの声にすら優しい手を差し伸べられない。
こうした状況を根本的に変えることは難しく、かつての僕のように悩んでいる方は今もどこかにいると思っています。
子育ての現実を目の当たりにしたからこそ、不平不満を言って終わらせるのではなく子育てが楽しく豊かになるサービスを作りたい。多様な子育てを応援し、お子さんを温かく見つめ、向き合うためのサービスでありたい。
そうした思いから、SDKidsでは、ユーザーの皆さんが使いやすく、楽しめて、子育てに寄り添ったアプローチを提供していきたいと思っています。
前例にないサービスゆえの苦労
SDKidsを開発する上で、参考にしているサービスはありますか?
そうですね、実は今回の開発にあたり類似サービスを探したんですが、見つけられませんでした。なので、SDKidsは前例にないサービスといえるかもしれません。
しかし前例がないからこそ開発は苦労の連続ですね。
子育てに必要なはずという直感と、あったら自分が使いたいという2つの気持ちから開発を進めていますが、難しい内容も多く試行錯誤の毎日です。
開発において、チーム内でディスカッションすることもありますか?
えーっと、えーーー……
あっ、SDKidsに関しては定期ミーティングでUIやサービス内容などを話し合い、積極的に意見交換を行っています。今は画面設計についてお互いの知恵や情報を持ち寄りながら、最適解を探しているところです。
多くの方が使うサービスなので「想い」は僕が強く持ちながらも、社内メンバーの知識や感覚すべてを使って、より良いものを作りたいと考えています。カニカピラは制作会社なので、個々の知識が深くそれぞれに多様な価値観を持っており、日々助けられることばかりです。多分。
開発過程で右に行ったり左に行ったりすることもありますが、一直線に進まないところは子育てと同じだなと感じています。あっちへ行きこっちへ行き、といった過程も楽しみながら開発を進めているので、その雰囲気がサービスに反映されていければいいなとは考えています。
チームメンバーは子育て経験者の方が多いのでしょうか?
確か子育てしていないメンバーのほうが多いですね。子育て中なのは僕ともう一人ぐらいですね。
子育て経験があるかないかが開発に影響することはありますか?
子育ての実態や状況については、説明するとわかってくれるので特に問題になるようなことはないですね。もちろん、子育ての温度感やしんどさを理解することは難しいかもしれませんが、開発において支障が出ると思うことはあまり無いですね。
逆に子育てをしていないメンバーがいるおかげで、ドライに検討できるという側面があります。子育てしているメンバーだけだとフラットに考えることができなかったと思うので、そこは良いところかなと思います。多分。
臨床心理士の先生や社内スタッフ、外部の制作メンバーと、あとは誰がいたっけな。
まあ、今言ったような人たちとディスカッションを交わす中でアイディア・価値観・考え方など、すべてをもらっているような感覚があります。はい。
こどもと向き合う時間が楽しめるように
お話をお伺いする中で、SDKidsはリリース後もユーザーと共に育っていくサービスのように感じました。
最後に、今後SDKidsをどのようなサービスにしていきたいかお伺いできますか?
ひと昔前は、子育ては家族だけでなくコミュニティで行うものでした。近所同士で助け合い、さまざまな価値観をもつ大人がこどもと関わることが、こどもをありのまま育てることに繋がっていたと思います。
しかし、現代の子育てでそうした環境を再現することは難しいです。だからこそ、SDKidsで子育ての辛さやしんどさが緩和できればと考えています。
やわらかい子育て、ふくらみのある子育てに寄与できるように、長く使い続けられるサービスの開発に尽力していきたいと思います。
最後に「想い」について、少しだけ。
僕は自分の人生のテーマが「多様性」なんだとある時自覚しました。
アーティストとして作品を作る時、ご依頼を受けてデザインを提案する時、常にどこかに「多様性」「多様な社会を肯定したい」という気持ちがあることに気づいたのです。
それは多分、幼いころから持っていた価値観であったり大切にしていた気持ちだったのですが、言語化はできていませんでした。また、なぜそこにこだわりがあるのかもよくわかりません。ただ、今回のSDKidsにもそのエッセンスが多分に入っていることは間違いないです。
「こっちは大体オッケーです、九条さん」
了解、インタビューが終わったら引き上げよう。
ん?九条さん?姉川さんではなく?
あっ
先程からやけに回答の歯切れが悪いと思っていたんですけど、あなた本当に姉川さんですか……?
えーーーーーーーーっと、ちょっと待ってくださいね。
……。
……。
……。
……。
逃げろ!!!
あっ!!!ちょっと!!!
逃げられてしまった……
「んっーーんんーーー」
ん?どこからかうめき声が?
……えぇっ!?
どっ、どうしたんですか!姉川さんがもう1人!?
僕が本物です!
さっきのやつは偽物です。泥棒です。途中であなたが来たから慌てて僕のフリをしていたんです!
そ、そんな!
でも、よくよく話を聞いているとSDKidsに詳しすぎる大したやつでしたね。
不覚にも、聞きながら感心してしまいました。一度、あいつと話してみたい…… 意外と話が合うかもしれません。
連絡先って聞いてますか?
……。
(ピコン♪)
ん?スマホに通知が来た。
あっ、テストサイトの会員が3人増えてる!!!!
SDKidsは今年の5月にベータ版をリリース予定です。
また、SDKidsはInstagramも更新しています!子育てに役立つ情報を毎週2本以上更新しています。よろしければフォローお願いします。
https://www.instagram.com/super_diversity_kids/
カニカピラは2024年もクライアントワークをはじめ、SDKidsなど実直にモノづくりに取り組んでまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします!
みなさんもSDKを利用して、SDKとお子さんの特性に詳しくなってみてはいかがでしょうか。
それでは今回の寒中見舞いメールは以上とさせていただきます。ここまで読んでいただきありがとうございました!